高度な脳卒中急性期治療を地域に提供
卒中は日本人の死因の第4位。脳の血管に血栓が詰まる「脳梗塞」と、血管から出血して血腫ができる「脳出血」に大別でき、さらに脳出血は細い動脈が破れる「脳出血」と、太い脳動脈にできた動脈瘤(コブ)が破裂する「くも膜下出血」に分類されます。いずれも病変部から先の神経細胞に酸素と栄養が届かず壊死するため、治療が遅れれば命にかかわり、麻痺などの後遺症が残る確率も高まります。国は脳卒中の急性期医療拡充のため、24時間365日患者さまの受け入れが可能で、脳卒中の専門医が常駐し、定められた水準以上の医療を実施できる医療機関を「一次脳卒中センター」として認定する制度をスタートさせ、当院も2019年9月1日より認定されています。当院はかねてより、院長で脳神経外科部長の福島崇夫医師率いる脳卒中チームが、ハイレベルな治療を提供。脳梗塞に対するt-PA(静注による血栓溶解療法)はもとより、カテーテルで専用の器具を梗塞部位に送り込み、血栓をからめ取る、あるいは吸引することで血行再建を図る血管内治療「機械的血栓回収療法」は、高評価を得てきました。そのほか血腫の除去にはハイビジョン内視鏡、くも膜下出血にはクリッピング術やコイル塞栓術で対処するなど、実績が豊富です。さらに2020年9月にはSCU=StrokeCareUnit(脳卒中ケアユニット)7床を開設し、一次脳卒中センターに相応しい体制を整えました。
迅速治療を支える放射線科
脳卒中を疑われる方が救急搬送された時、力を発揮するのが迅速な画像診断です。放射線科の技師21名がシフトを組み、24時間体制で検査に対応。当院のCTとMRIはいずれも精度が高く、病変部の精密な3D画像を描出できるので、医師は迅速に治療方針の確定が可能です。血管内治療の適応となれば血管造影(アンギオグラフィ)室へ。多方向から血管のX線透視画像を撮影できる設備で、医師は機械的血栓回収療法やコイル塞栓術などを、モニター画像で確認しながら実施。脳卒中チームに参画する放射線技師は、器械出しや造影剤の管理などをサポートします。
機能予後改善に貢献するSCU
CUは脳卒中に特化した集中治療を行う病床です。発症後の血圧や頭蓋内圧の管理、浮腫や再出血への対応などをきめ細かく実施するほか、超早期のリハビリも開始。一般病棟に比べると、在院期間の短縮、自宅退院率の増加、ADL(日常生活動作)の高い改善率など多くのメリットがあると報告されています。SCUチームは脳神経外科医4名と看護師、理学療法士などの多職種で構成されており、脳神経外科病棟から薬剤師、管理栄養士、言語聴覚士などが適宜参画し、チーム医療にあたります。滞在期間は最長14日、多くは7日間で、1ヵ月に30〜40人を受け入れており、7床はフル稼働です。突然に襲ってくる脳卒中は、ご本人のみならず家族にも大きなショックを与えます。SCUチームは、今後の治療やリハビリの見通しを丁寧に説明しながら、精神面もサポート。初期治療を軌道に乗せることで、社会復帰へのモチベーションにつなげなければなりません。SCUから一般病棟を経て、退院される患者さまのうち、約3割は自宅への直接退院を果たしています。回復期リハビリ病棟や療養型病棟への転院、介護老人保健施設など介護系施設への入所が必要な方には、医療ソーシャルワーカーがチームに加わり、支援を行います。脳卒中超急性期の診断にはじまり、血管内治療や開頭による外科的治療、SCUでの管理、リハビリテーション、自宅への退院あるいは転院へ。当院は切れ目のない包括的な脳卒中医療を提供し、これからも地域に貢献します。
Staff Voice
患者さまのドラマティックな回復に感激

SCUでの治療が回復への水先案内に

探険隊長から...

高島平中央総合病院

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