
C型アームにはX線照射器と、それに向かい合うように投影機を搭載。2つのC型アームは自在に角度を変えることができる
板橋中央総合病院の脳神経外科は「脳血管内治療」に力を入れています。この7月、キヤノンメディカルシステムズの血管撮影装置(アンギオグラフィ装置。以下アンギオ)の最新型「Alphenix」を導入したことで、患者さまの負担を軽減し、より安全で確かな治療を提供できるようになりました。
アンギオとは、病変のある血管を中心に、連続的なX線透視撮影を行うことで、モニター上に血管の状態や、血管内治療のプロセスをリアルタイムに画像で写し出す装置です。血管をしっかり描出できるよう、検査や治療時には、患者さまの主に鼠蹊部の血管から挿入したカテーテルで、造影剤が注入されます。
アンギオ本体はC型の大きなアームに、X線照射器と、それに向かい合うように像を結ぶ投影機を搭載。当院では投影機2台を組み合わせた最新型のバイプレーンタイプを採用し、縦方向と横方向からの同時撮影が可能です。さらにC型アームは自在に位置や角度を変えることができるので、医師が必要とする画像を的確に映し出すことができます。
脳血管内治療の対象となる疾患の代表は①脳動脈瘤(血管の一部が膨らんでできたコブ)が破裂する「くも膜下出血」、②脳動脈に血栓(血の塊)が詰まる「脳梗塞」、③動脈と静脈が毛細血管を介さずつながっている「脳動静脈奇形」。
これらの治療では①動脈瘤に詰める止血用のコイル、②血栓を回収し、血流を再開させるステントや吸引器、③異常血管を詰めるための接着剤などをカテーテルで送り込んで使用します。
最新型アンギオの一番の特長は超高精細画像で、画素数が極めて高く、器具の細かな形状がクリアに把握できること。コイルは毛糸玉のように丸めながらコブの中を埋めていきます。それは0・1ミリ単位の細い動脈内部で行う巧こうち緻な手技なので、医師にとって安心感があります。
また、基本の透視画像はモノクロの2次元ですが、隣のモニターに血管の3次元画像を映すことで、病変部の確認に役立ちます。CTと類似の、体を輪切りにした連続撮影も可能です。
さらに事前の検査で撮影したCTやMRIの3次元画像に、透視画像を重ねることも可能なので、治療のロードマップとして活用できます。