オシゴトいろいろ

障がい者が能力を 発揮できる職場に

誰もが働きやすい環境を

近年、誰もが等しく人格と個性を尊重し合い、共生する社会が強く求められています。
「雇用環境整備士」は、職場におけるダイバーシティ=多様性の包摂を目指して生まれた認定資格です。
支援対象に応じて3種類の資格があり、第I種が仕事と子育ての両立を目指す育児者。
第II種は身体あるいは精神に障がいを持つ障がい者。第III種は経験を生かした採用を望む35歳以上の人=エイジレス。
雇用環境整備士は、それぞれが公平な雇用機会を得られ、また個々の能力を十分発揮できるよう、職場の環境改善に努めなければなりません。
私の資格は障がい者を担当する第II種です。
もともと国には「障害者雇用促進法」があり、民間企業の場合、従業員43.5人以上の事業主は、常時雇用している労働者のうち、2.3%以上の障がい者を雇用する義務があります。
雇用人数は、障がいの程度と週所定労働時間によ っ てポイント化されるので、計算式が複雑なのですが、当院の規模なら3.4ポイント以上が必要です。
ところが2017年、回復期リハビリテーション病棟に特化してリニューアル当初は0.5ポイントと、採用・定着に苦戦していました。
脳卒中や整形外科疾患の後遺症のため、手足の麻痺や失語、筋力低下などの障がいのある患者さまに集中的なリハビリを提供し、社会復帰を支援する医療機関なのですから、障がい者雇用のお手本
も目指そうと、総務課全員で話し合いました。
そのノウハウを学ぶため、3年前、私が雇用環境整備士の講座を受講し、第II種の資格認定を得たのです。

カギは信頼関係の醸成


雇用環境整備士第II種の資格者証

定期的な面談で、何か問題があれば早めに対処し、長期の職場定着を図る

求人は、まず各部署から必要とする業務を具体的に出してもらい、総務課で検討の上、ハローワーク等の障がい者専用窓口に申し込みます。
応募者があれば来院してもらい、ゆっくり時間をかけて面接。障がい者の就業を支援する法人の担当者が同行してくれることも多く、業務でできること・できないこと、業務外での要望など具体的に話し合います。
その上で部署にフィードバックし、マッチング。ハローワークには助成金の付くトライアル雇用などの制度があり、適宜活用しました。
正直、採用より職場に定着してもらう方が難しい。お互い試行錯誤しながら、病院全体で理解を深めてきたおかげで、現在は、身体障がい者4名、精神障がい者2名が勤務。
点数は7ポイントと、IMSグループの中でも好成績です。
たとえばAさんは、脳卒中の後遺症で片麻痺のある職員。夜間受付で入職しましたが、業務に慣れてくると少し物足りないと、コロナ禍以降、院内中の手すりやテーブル等の清掃・消毒も兼務。
院内を歩き回るため自身のリハビリにもなると前向きです。
Bさんは精神障がいを持っている職員。丁寧な患者さま対応に定評のある方ですが、業務で失敗をすると落ち込みがち。
周りが事情を聞いたり、休憩を上手に挟んだりと、適切なフォローで乗り越えています。
他にも精神障がいや、身体障がいを持った職員が在籍中。総務課や上長との頻ひんかい回な面談で信頼関係を築いてきました。
有資格者である医療スタッフに対し、総務課・医事課等の事務部門はスキルアップが形に表れにくい職種です。
その中で雇用環境整備士は、私にとって仕事の羅針盤であり、やりがいにつながっています。
いずれ第I種、第III種も取得し、誰もが働きやすい職場環境づくりに寄与したいですね。

雇用環境整備士

育児者、障がい者、エイジレス雇用を促進するために、組織の職場環境を整備できる専門知識者。
第I種〜III種があり、現在延べ1万人ほどが認定されている。講習会の受講が必要。
一般社団法人日本雇用環境整備機

イムスリハビリテーションセンター東京葛飾病院