コンシェルジュの仕事は、朝、全部屋をまわり、ご入居者さまに挨拶することから始まります。お一人おひとりの様子を観察し、お話されたがっているなと感じた方の部屋をあとで訪問してじっくりお話をうかがいます。新しく入居された方には1週間ほどしっかりと寄り添い、他のご入居者さまと親しくなれるよう橋渡しをします。
介護福祉士や看護師と異なるのは、1人の方のお話を1時間でも2時間でも聴けることです。業務に追われご入居者さまのお話をゆっくり聴けないという職員の声は以前からあり、施設長は「コンシェルジュ」職の構想を温めていたようです。もともと介護福祉士だった私が抜擢されたのは、腰痛が悪化して仕事の継続が難しくなったため。退職の希望を出したとき、コンシェルジュとしてこれまでの経験を活かして欲しいといわれました。
私は友人と話していても聞き役にまわることが多く、長時間聴き続けることが苦ではありません。むしろ、とりとめのないようなお話の中に、実はこんなことがしたいという要望の種を見つけたり、趣味など好きなことを生き生きと話される姿を見たり、傾聴に喜びを感じることが多々あります。
時間に縛られず話ができるコンシェルジュの存在はご入居者さまの生活の質向上につながっている