オシゴトいろいろ

医師の診断をサポートする超音波検査のスペシャリスト

超音波検査の沼にはまり子育てしながら資格を取得

私は2005年に臨床検査技師国家試験に合格して板橋中央総合病院に入職し、2015年からイムス富士見総合病院で勤務しています。入職してまもなく超音波検査の“沼”にはまり、2018年に「超音波検査士(循環器領域)」の認定を受けました。

超音波検査の魅力は、画像をリアルタイムで見ながら、自分の技術と知識を駆使して主体的に判断できること。中でも心臓超音波検査(心エコー)は、動き続ける心臓を超音波で捉え、一瞬一瞬の判断を積み重ねていくところが大好きです。

医師にも信頼され、やりがいを感じますが、その分責任は重大です。

とくに緊急時は短時間で的確な検査を行うことが求められます。例えば急性心筋梗塞の場合、心エコーで血管の詰まりを確認できればすぐにカテーテル治療となりますが、合併症で心破裂を起こしている場合は開胸手術が必要なので、精度の高い検査をすることが大切。超音波検査士になると、患者さまの病態をより深く理解して適切な治療につながる検査ができるようになります。

当院の超音波検査士は現在3名。認定を受けるには実務経験を積んで研修を受け、試験に合格する必要があります。試験は書類審査と筆記試験があり、書類審査で提出する検査レポートがとくに大変です。循環器領域の場合は、弁膜症、虚血性心疾患、先天性疾患など幅広い病気の検査レポートを、重症例を含め合計20症例提出しなければなりません。

私の場合、症例集めに約2年かかりました。当時は子どもが小さく、夜寝かしつけたら午前3時に起きて試験勉強するなど、文字通り寝る間を惜しんで取り組んだ記憶があります。筆記試験も難しく合格率は6割ほど。準備開始から足掛け4年で合格したときは本当にうれしかったです。

心エコーは血管の壁にたまった脂(プラーク)も映し出す。超音波検査士は医師の診断、治療方針決定を支える“縁の下の力持ち”

患者さまとの交流も喜び 後進を育て臨床を極めたい

心エコーは患者さまとの距離がとても近い検査。受けた経験のある方はわかると思います。ある患者さまとは、重い心臓病で入退院を繰り返す中で検査時にいろいろなお話をしました。心が通い合い、当院で亡くなられたときは医師や看護師と一緒にお見送りも。後日ご家族が来院し、「よくしてくれてありがとう。棺に写真を入れたい」と、他のスタッフと一緒に撮影をしてくれました。

当院は2023年4月に訪問超音波検査を開始。「通院が大変だったので助かる」「自宅で安心して検査を受けられる」など、患者さまやご家族の満足度は高いです。

今後は専門性をより活かし、エコノミークラス症候群のリスクのある高齢患者さまの下肢血管超音波検査を医師に提案していくことなどを考えています。

個人的な目標は臨床を極めることですが、グループ病院の検査のさらなるレベルアップにも貢献したいですね。IMSグループ臨床検査部門の超音波部会ではビデオ講習、実技講習などで人材育成を図っており、私も講師として参加しています。

超音波検査は体中ほとんどの部位を検査でき、痛みなどはなく、病気のスクリーニングから確定診断まで使えます。その魅力を広く伝え、超音波検査士を目指す医療従事者を増やしていきたいと思います。

訪問超音波検査は2ヵ月に1回。右手に持っているコンパクトなポータブル超音波診断装置が相棒

2025年11月開催の「IMS医学検査学会」で希少疾患の心エコー症例を発表

超音波検査士

医療現場で超音波(エコー)検査を専門に行う医療従事者(看護師、准看護師、臨床検査技師、診療放射線技師)のこと。超音波を用いて、体内の臓器や組織の異常を発見するために必要な、高度な技術と知識を持つことを証明する資格。1985年に制度化された。認定を得るためには指定の研修や実務経験を積み、日本超音波医学会が行う試験(書類審査、筆記試験)に合格する必要がある。試験は「体表臓器」「循環器」「消化器」「泌尿器」「産婦人科」「健診」「血管」の7領域にわかれ、1回の試験で1領域のみ受験可能。資格取得後は5年ごとに更新が必要。

※超音波検査士と超音波専門医の違い
超音波検査士は検査そのものを専門的に行い、超音波専門医は医師として超音波検査の結果を診断し、治療方針を決定する

イムス富士見総合病院