埼玉みさと総合リハビリテーション病院は175床を擁する回復期リハビリテーション病院です。患者さまは、片麻痺や高次脳機能障害など脳卒中の後遺症を抱える方と、脊髄・脊椎や大腿骨、関節等の運動器疾患の方が主な対象。
在宅復帰率84.6%、身体機能のリハビリテーション(以下リハビリ)実績を示す指数は、基準の40を大きく超える45.5と高い成果を挙げています。
中でも大きな特徴は「脊髄損傷」の患者さまを、常時10名以上受け入れていること。多くの医療スタッフの手厚いケアを必要とするため、埼玉県下で対応できる病院は少なく、地域の期待に応えています。
脊髄は背骨(脊椎)の中を通る重要な中枢神経。外傷などで脊髄を損傷すると、損傷部位によりますが、首から下の麻痺、下半身の麻痺、排尿・排便機能や性機能の喪失などの症状が現れます。
脊髄損傷の原因は交通事故やスポーツ事故、高所から転落等の印象が強いのですが、50代以降の中高年では、ちょっとした尻もちや軽い転倒、筋トレや不適切な整体治療などが引き金になることも少なくありません。
発症以前に後縦靱帯骨化症、脊柱狭窄症などの疾患が自覚症状の乏しいまま進行。背骨のトンネルがひどく狭窄し、脊髄を圧迫していた例が多く見られます。
日常生活の自立度向上と退院後の社会参加を見据えて
脊髄損傷の回復期リハビリに取り組む
脊髄損傷の患者さまを受け入れ
ロボット導入で回復を支援、復職支援プログラムも充実
脊髄損傷のリハビリの目的は①機能回復②残存機能の活用に大きく分けられます。急性期病院での治療を終えた患者さまに、①と②のどちらを主軸にリハビリを進めるか、一人ひとりのゴールを設定し、メニューを決めます。
歩行回復を目指す患者さまは、まず立つことから。自律神経の障害で血圧が乱降下しやすいため、体を起こすだけで失神してしまう場合もあるので、徐々に慣らしていきます。体重は支えられないけれど足が動く場合は、体をベルトで吊り上げる歩行マシン「免荷式トレッドミル」を活用。歩行器と組み合わせたタイプもあり、徐々に体重の負荷を増やしていきます。
上肢にはロボット型運動訓練装置「ReoGo-J」を導入。画面で腕の動きをトレースでき、ゲーム感覚で筋肉の可動域を広げ、鍛えることができます。
低周波治療器IVES®は、電気刺激療法。上肢や下肢、臀部などの筋肉が動くときに発する電気の量をセンサーで把握しつつ、筋肉を補いたい部位に適度な電気刺激を送って、体の動きをサポートする装置です。筋肉の動きは脳神経にフィードバックされ、繰り返せば徐々に回復に向かいます。
一方、下半身完全麻痺の場合は車イスのトレーニングが肝心。車イスからベッド、便座、床へと乗り移る、車イスで斜面を上り下りする、段差を乗り越えるなどの課題をこなしていきます。
下半身麻痺の場合、約半年後の退院時には、職場復帰を果たす方も少なくありません。「足がタイヤに変わったと考えていただければ、あとは本人の意欲次第です」と加藤先生。患者さまと企業担当者の打ち合わせに立ち会いアドバイスするなど、復職支援プログラムも充実しています。どのような流れで就労に向かって行動すれば良いのか、どのようなサービスを使うことができるのか、などの支援を行います。
また障がいのレベルに応じた作業療法も大事な柱。自助具を適宜利用しながら、食べる、着替えるなど日常生活動作の回復を目指します。重度の麻痺の方が生活の質を高められるよう、パソコンの音声操作や、顎での操作も進行中です。
自宅復帰後のリハビリ継続や家族のサポート、住宅のバリアフリー化、介護器具導入など福祉との連携もしっかり構築。脊髄損傷の現実と向き合いながら、新たなステージを応援していきます。
Staff Voice
退院後の暮らしを見据えたリハビリを
生活の質を上げるためのサポートを
堀田 あずさ 作業療法士
探険隊長から...
埼玉みさと総合リハビリテーション病院
〒341-0034
埼玉県三郷市新和5-207
TEL. 048-953-1211
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