オシゴトいろいろ

職員が安心して働けるハラスメントのない職場を

加害者、被害者双方の話を公平に聞くことが"肝"

 ハラスメントとは、他者に対して嫌がらせや不快な行動をすることです。パワーハラスメント(パワハラ)、セクシャルハラスメント(セクハラ)、マタニティハラスメント(マタハラ)などがよく知られていますが、職場で起こるハラスメントは41種類あるといわれています。
私は今年(2024年)5月にハラスメントアドバイザーの資格を取得しました。それ以前からハラスメントの主任責任者として対応していましたが、事務長にこの資格の存在を教えてもらい、チャレンジしました。認定試験はマークシート方式で、60問中7割正解以上が合格基準。合格率は約20%です。かなり難しかったですが、問題集を中心にインターネットも駆使して学習しました。
 主な業務は、ハラスメントに関する職員の相談への対応です。どのような相談でも、まずは被害者と加害者双方の話をよく聞きます。このときに大切なことは、被害者と加害者をフラットに見ること。「それってハラスメントになるのかな?」など、自分の価値観を入り込ませてはなりません。先入観を持たず、どちらの話も公平に聞くことがハラスメント対応の"肝"です。
 私自身は小学生の頃に野球を始め、いまならハラスメントといわれるような指導が当たり前だと思ってきた世代。それだけに自分の経験や感覚で判断しないよう気をつけています。
 問題解決を図る上では、被害者のケアはもちろんですが、加害者の今後を考えた対応をすることも重要です。他者への接し方に意識を向けるように促すなど、ハラスメントを繰り返さずに済むようなアドバイスを心がけています。面談のあと、その人の言動や態度がやさしくなっているのを見ると、この仕事をやって良かったと心から思います。

「ハラスメント委員会」を隔月で開催。投書があったときは緊急で招集し、迅速に対応

ハラスメントは早期対応と予防が大切

 私が当院へ異動した2022年6月以降、寄せられた相談は4件。院内の投書箱を通じたものが大半です。昨年はほとんど投書がなかったため、12月に職員向けのアンケートを実施し、もし悩んでいる人がいた場合、投書しやすいように投書箱を人目につきにくい場所に変更し、設置場所の周知は院内掲示板を通して行いました。
 投書箱は定期的に確認し、投書があれば緊急でハラスメント委員会を開催します。迅速に対応することで、投書した職員が「対応してくれなかった」と不信感を持ち、職場への信頼を失ったりする事態を避ける事ができます。
 ハラスメント対応をする上で気をつけていることは、言葉遣いと普段の自分の行動です。「あなたも同じことをしているじゃないですか」と指摘されたら、相談窓口としての立場や説得力がなくなってしまうため、相手の性格などを理解した上でコミュニケーションをとるように心がけています。
 ハラスメントを勉強する中で、問題が起こる前の対策、つまり予防がいちばん大事であることを学びました。明らかなハラスメントや、勤務時間外の業務指示などだけではなく、相手のために良かれと思ってやったことがハラスメントになることもあります。例えば、時短勤務の職員がこの仕事は今日終わらせたいから少し残業したいと思っている際に、気遣いで「時間だから帰りな」と声をかけた場合でも、仕事に対するモチベーションを下げるというハラスメントに該当するケースがあります。今後、職員研修の充実や小さなことでも気軽に相談できる環境づくりで、ハラスメントのない職場にすることが私の目標です。

ハラスメントアドバイザー認定試験合格証書と認定証兼会員証

ハラスメントアドバイザー

一般財団法人日本ハラスメントカウンセラー協会が認定する民間資格。2020年創設。ハラスメント事案を未然に防ぎ、また万が一の場合の危機を最小化するための極めて重要な役割を担う。認定試験は毎年秋に実施され、「ハラスメントの理解」「ハラスメントの法的責任等」「雇用管理上講ずべき措置等」「ハラスメントの予防と再発防止対策」「ハラスメント相談について」という5つの課題から出題される。

IMS(イムス)グループ 医療法人財団 明芳会 イムス記念病院