オシゴトいろいろ

医師の事務負担軽減で医療の質向上に貢献

診断書の作成やカテーテル手術の記録も補助

  医師事務作業補助者の仕事は、医師の指示のもとに、診断書などの文書作成や電子カルテへの代行入力などを行う仕事です。外来の診察室で、医師の隣で電子カルテの入力や、次回の受診予約、検査予約をする事務職員を見たことがある方もいると思います。ほかにも様々な業務があり、私の場合は診断書作成と、循環器内科や心臓血管外科で行うカテーテル治療の記録作成が中心です。
 カテーテル手術の記録作成は覚えるまでが大変でした。最初は病気や治療の知識がほとんどなく、略語もはじめて聞くものばかり。患者さま一人ひとり治療内容が異なるため苦労の連続でした。医師や看護師、放射線技師、臨床工学技士の方々に教えてもらいながら、専門書やインターネットで調べ、メーカーの医療者向け勉強会にも参加しました。
 今では、普通のカテーテル手術なら記録をとることができます。書類を見た医師から「よく勉強してきたね」と言われると、努力が認められたようでうれしいですね。
 3〜4年前からは、医師が各学会に提出する書類の作成なども任せてもらえるようになりました。
 私が医療事務の職に就いたのは、子どもが小学生のときです。通信講座で資格をとり、医療機関へ就職。2015年に行徳総合病院へ転職しました。
 入職の1ヵ月後、医師事務作業補助者にならないかと声をかけられたときは、「私に務まるのかな?」と思いましたが、研修体制がしっかりしていて、グループ病院で医師事務作業補助者が活躍する様子も見学。頑張って取り組むことができました。

用途に応じた内容の書類を1日でも早く患者さまに届ける

 当院に勤務する医師事務作業補助者は、私を含め12人です。そのうち7人が医事課で診断書などを作成し、5人は他の部署で紹介状(診療情報提供書)の返事などの作成業務を担当。これらの書類はすべて医師事務作業補助者を通して医師の手元に届けられます。
 例えば、保険金請求のための診断書の場合、患者さまのカルテや生命保険会社の依頼書を見て私たちが下書きを作成し、医師が確認したのち清書して完成させます。
 当院では現在、月に約550件の診断書を作成しています。診断書作成で私たちが気をつけているのは、用途に応じた内容にすることです。休職のために職場に提出するのか、保険金請求のために生命保険会社に提出するのか、それとも介護保険の意見書なのか…。医師事務作業補助者になって間もないスタッフの指導でも、そのことをしっかりと伝えています。
 診断書の作成には、通常2週間ほど、お時間をいただいておりますが、1日でも早くお届けすることが私たちの重要な務めだと思っています。そうすることで、患者さまやご家族はスムーズに手続きを進めることができます。
 医師事務作業補助者は、医師の働き方改革のためにも必要なので、当院でも人員を増やしています。また、カテーテル治療の記録や、学会に提出する書類の作成ができるスタッフも増やす予定です。医師事務作業補助者の業務の幅が広がれば、医師は医師にしかできない仕事にもっと専念できるようになります。信頼して任せてもらえるように、知識と経験を深めていきたいと思います。

確認が済んだ書類に「いつもありがとう」とメッセージを付けてくれる医師もいます

医師事務作業補助者

 医師の指示のもとに、診断書などの文書作成や電子カルテ(診療記録)への代行入力などを行う仕事。「医療クラーク」とも呼ばれるが、2008年度の診療報酬改定で「医師事務作業補助者」が創設された。業務内容は幅広く、診療データの整理、研修・カンファレンスの準備、入院時の案内、救急医療情報システムへの入力など様々。必要な資格はないものの、6ヵ月間の研修期間内に、厚生労働省が定める32時間以上の研修受講が必要。研修では医師法など関連法規の概要、個人情報の保護、医療機関で提供される一般的な医療内容や用語などを学ぶ。医師事務作業補助者のサポートにより医師が診察を円滑に行うことができ、医療の質の向上につながる。

行徳総合病院