メディカル・ズームイン

女性専用フロアを新設
健康診断で生活習慣病の早期発見・早期治療を

IMSグループは予防医療の重要性に鑑み、首都圏及び仙台に全7施設のIMS Me -Life クリニックを開設し、健康診断や人間ドック、がん検診を提供しています。

日本人の死因の半数近くを占める「生活習慣病」とは何か? どうすれば予防できるのか? 
最前線で受診者さまと向き合うIMS Me-Life クリニック 千葉の丸山弘子院長と、胃カメラに精通する消化器内科の福永祥子医師に詳細をうかがいました。

医師紹介

IMS Me-Life クリニック 千葉
院長
丸山 弘子 医師

  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
  • 日本内科学会認定医
  • 日本医師会認定産業医
  • 日本人間ドック・予防医療学会認定医

IMS Me-Life クリニック 千葉
消化器内科
福永 祥子 医師

  • 日本消化器内視鏡学会専門医
  • 上部消化管内視鏡スクリーニング認定医
  • 日本ヘリコバクター学会認定医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本人間ドック健診専門医
  • 日本外科学会認定登録医
  • 日本医師会認定産業医

健康診断で生活習慣病を防ぐ

厚生労働省の国民生活基礎調査(2022年)によれば、20歳以上で過去1年間に健診や人間ドックを受けたことがある人は、男性73・1%、女性65・7%。受診率は向上傾向とはいえ、「予防医療」の重要性はまだ十分に理解されてはいないのですね。

丸山はい。企業は労働安全衛生法によって健康診断実施が義務付けられていますから、従業員への働きかけがあり受診率は平均すると85%ほど。反面、自営業者や定年退職者、専業主婦等の方々は低率に留まるのでとても心配です。
また受診者さまのおよそ3人に1人は再検査や精密検査で医療機関への受診が必要と通知されますが、その約4分の1は医療機関にアクセスしないまま〝放置〞という残念な報告もあります。

では健康診断の目的について、改めて教えてください。

丸山「生活習慣病」の早期発見・早期治療です。生活習慣病とは食生活、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が発症・進行に関与する疾患群のことで、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、さらには悪性新生物(がん)、心疾患(狭心症や心筋梗塞など)、脳血管疾患(脳梗塞や脳出血など)、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などがあげられます。生活習慣病は日本人の死因のおよそ半数を占め、介護が必要となる大きな要因ともなります。
日本人の死因の1位は30年以上連続でがんであり、厚生労働省は胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんの5つの「がん検診」の指針を定めています。
また、2位の心疾患と4位の脳血管疾患は「動脈硬化」が最大の要因であり、健康診断でリスクを減らすことができます。

具体的には?

丸山①お腹の内臓周りに脂肪が蓄積する内臓脂肪型肥満、②脂質異常、③高血圧、④高血糖などが、程度が軽くとも重なって起こると動脈硬化の進行が進むといわれています。「メタボ健診」という言葉をよく耳にされると思いますが「メタボ」とは「メタボリック症候群」の略で、生活習慣病の前段階の状態を示すものです。『メタボリック症候群の基準』表のように①に加え、②〜④のうち2つ以上を併せ持つと「メタボリック症候群」と呼ばれます。

動脈硬化と、どのような関係があるのですか?

丸山①の内臓脂肪型肥満では、脂肪細胞が分泌する生理活性物質が健康を左右します。たとえば、アディポネクチンは「善玉」の生理活性物質として注目されており、血中濃度が高いほど動脈硬化の予防に有効ですが、内臓脂肪型肥満では、アディポネクチンの分泌が減ります。
血液中の中性脂肪が増えるとLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が増え、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が減ります。血液中の過剰な悪玉コレステロールが動脈の血管壁に潜り込みながら沈着し、ドロドロの「プラーク」を形成します。プラークが大きくなると、血液の通る隙間を狭めて血管がつまりやすい状態になります。また、プラークが破れると修復しようと血小板が凝集し、血栓となって動脈の血流を塞いでしまいます。脳動脈で発症すれば脳梗塞、心臓に酸素や栄養を運ぶ冠動脈で起これば心筋梗塞となって、命を落としたり麻痺などの後遺症を残したりします。

中性脂肪の血中濃度が高く、血管壁に付着したコレステロールを回収する善玉コレステロール(HDLコレステロール)値の低い状態が②の脂質異常ですね。

④の高血糖は?

丸山血液中の糖は、インスリンの助けを借りて細胞に取り込まれます。取り込まれた糖はヒトが活動するためのエネルギー源となります。インスリンの働きによって、血液中の糖の濃度は一定範囲に収まっています。ところが、運動不足や食べ過ぎが原因で肥満になり、内臓脂肪が増えると脂肪細胞からTNF–αという「悪玉」の生理活性物質が分泌され、このTNF–αがインスリンを働きにくくして、その結果、血液中の糖が増えます。血液中の過剰な糖が糖化作用で血管のタンパク質を変質させるため、動脈硬化を促進します。
また、インスリンが働きにくくなると血液中にインスリンが多量に分泌され「高インスリン血症」となり、高血圧、脂質異常を呼びよせ動脈硬化を促進します。がんのリスク因子でもあります。

血糖値のコントロールはとても重要ですね。

丸山はい。メタボリック症候群が進行すると、全身に酸素と栄養を運ぶ血管のダメージが日々蓄積し、まさに万病の元です。
健康診断で早期に兆候を把握し、進行をくい止めなければなりません。多忙な現代人は生活習慣の改善がなかなか上手くいかず、悪い状態を長く放置してしまうことがあります。健診の結果をかかりつけ医に診てもい、必要に応じ薬物療法を含む治療につなげてください。

福永現場で診ていると、30代でも黄色信号が灯っている方はいらっしゃいます。特にBMIが25以上の方は危機感を持ち、生活習慣の改善に取り組み、必要があれば医療機関を受診していただきたいです。

丸山女性と男性では性ホルモンの影響もあって、メタボリック症候群の現れ方が異なります。女性は更年期以降、メタボリック症候群のリスクが急激に高まります。当クリニックは千葉駅直結型のオフィスビルであるセンシティタワーにあり、昨年12月に8Fに加え、新たに23Fに女性専用フロアを新設しました。完全男女別フロアで安心して受診いただけますので、ぜひご利用ください。

命を守るがん検診。オプション検査も上手に活用したい

こちらのクリニックでは、一般的な健康診断に加え、がん検診にも積極的に応じています。オプション検査も含め、受診ポイントを教えてください。

福永胃がん検診は、胃バリウム検査と胃カメラ検査の2種類があります。
特に、ピロリ菌除菌後の方、ピロリ菌検査で陽性、バリウムで慢性胃炎を指摘されている方、喫煙する方、多量の飲酒をする方、少量の飲酒で顔が赤くなる方、近しい家族にがんの罹患者が複数いる方には、私は胃カメラをおすすめします。胃カメラでは、食道や胃の粘膜を直接観察し、微細な色調や表面の変化から、より早い段階で病変を見つけることが可能です。

胃カメラは苦しそうなイメージがありますが…。

福永当クリニックでは、より苦痛を少なくするため、経口でも経鼻でも細径カメラを使用し、経験豊富な医師やスタッフが丁寧な操作で検査を行っています。
当クリニックが導入している最新鋭の内視鏡装置は、高画質であるだけでなく、画像強調内視鏡(特殊な光を当てて観察することにより、通常の白色光では見逃しやすい微細な変化を発見できるシステム)を併用して観察します。胃カメラは、より苦痛の少ない、かつ精度の高い検査になっていますので、以前受けたとき辛かった方や、怖くて受けたことがない方も一度ご相談ください。

丸山肺がん検診は単純X線撮影が一般的ですが、心臓や脊椎の陰にある病変は見つけることが難しいケースもあります。喫煙習慣がある(受動喫煙も含む)、痰が絡みやすい、咳が気になるなどがあれば、胸部CT撮影をおすすめします。オプションですが当院は80列マルチスライスの最新CTで対応します。

福永大腸がんは死亡数女性1位、男性2位、罹患率も近年増加傾向のがんです。便潜血検査を毎年受けましょう。検査で異常がある(陽性)場合は、消化器内科を受診して大腸内視鏡検査を受けてください。便潜血陽性を放置してしまい、症状が出てから受診し進行がんで発見されるという患者さまを日々の診療の中で多く経験し、検診の大切さを痛感しています。検診の異常を放置しないことが、命を守ることにつながります。

丸山乳がんは女性のがん罹患数1位ですが、早期(Ⅰ期)に発見・治療できれば90%以上治ります。X線撮影のマンモグラフィは、石灰化のある小さな乳がんを発見しやすいのが大きなメリットです。
しかし、乳腺密度の高い方(若い方に多く、40歳以上では約4割と推測される)は、発見しにくいケースがあります。乳腺超音波検査はその弱点を補いますから、マンモグラフィと一緒に受ける、あるいはマンモグラフィと乳腺超音波検査を1年ごとに交互に受けてみてはいかがでしょう。

他におすすめの検査はありますか?

福永腹部超音波検査は、男女ともにおすすめします。肝臓や胆のう、腎臓、胆管や膵臓の一部、脾臓などを観察する検査です。特に肝臓の観察に優れていますので、腫瘤だけでなく、脂肪肝や肝硬変など現在の肝臓の様子を把握することができます。お酒を飲まなくても、悪玉コレステロールや中性脂肪の多い方は非アルコール性脂肪肝炎の発症リスクがあり、肝臓がんの要因となります。腹部超音波検査で脂肪肝は容易に発見できますから、ぜひ検査項目に加えましょう。

最後に健康診断や人間ドックの上手な活用法をお願いします。

丸山まず健診結果は、検査当日までの体の情報だということ。異常がなくとも将来の健康を保証するものではありません。油断せず生活習慣=食事、運動、睡眠や生活リズム、ストレスの程度などを振り返るきっかけとしてください。
健診施設はできるだけ同じ施設で毎年受診すると、過去データの推移を確認でき、より正確な健康管理が可能になります。
私たち医療スタッフは、受診者さまの疾患の予防と早期発見に尽力します。

ありがとうございました。

【胃の内視鏡写真】

画像強調内視鏡
(Linked Color Imaging,LCI)イメージ

通常の白色光
イメージ

LCI(左)でオレンジ色に観察される部分が早期の胃がん。
白色光(右)と比較すると、周囲との色調のコントラストがより明瞭

【食道の内視鏡写真】

画像強調内視鏡
(Blue Laser Imaging,BLI)イメージ

通常の白色光
イメージ

BLI(左)で茶色に観察される部分が早期の食道がん。
白色光(右)では周囲粘膜とほぼ同色調に観察されるが、(左)BLIではより明瞭

【胸部CT撮影写真】イメージ

肺を横方向から“輪切り状”に何枚も撮影するCT撮影の写真。
複数枚撮影することで単純X線撮影では脊椎や心臓の陰になりやすい部位もしっかり観察することができる

【腹部超音波撮影写真】観察された脂肪肝
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肝臓と胆のうの異常は、超音波検査で発見されやすい。
脂肪肝は正常な肝臓より白く見える

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「花」「海」「風」をコンセプトに明るく清潔感のある23F女性専用フロア。
今年夏に8Fの男性専用フロアもリニューアル予定

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IMS Me-Life クリニック 千葉