オシゴトいろいろ

専門的な知識と指導で “ゴルフ寿命”を延ばす

ゴルフが好きで資格を取り 「ゴルフ外来」を提案

 当院は2024年10月に「ゴルフ外来」を新設しました。ゴルフによる痛みや不調を治療するための外来で、「スイング時に痛みがある」「痛みが強くてスイングができない」「骨折や脳梗塞によりゴルフをあきらめた、再開することに不安を感じる」方などは、保険診療の対象になります。

このゴルフ外来で、負担の少ないスイングやトレーニングの方法を指導しているのが、ゴルフフィジオトレーナーの資格を持つ私たち理学療法士2名です。ゴルフフィジオトレーナーという資格について、ほとんどの方は初めて耳にすると思いますが、2004年にドイツで生まれ、日本では2014年から認定講習会が行われています。

私自身は2024年6月に資格を取得。趣味であるゴルフに関わるような仕事がしたいと考えていた時に、大学の先輩からこの資格について教えてもらいました。負担のないスイングを提供し“ゴルフ寿命”を延ばすという理念に共感し、この資格を取りたいと思うように。また、この資格を当院で活かし患者さまへ還元することはできないだろうかと考え、院長、整形外科部長、事務長に相談の末、ゴルフ外来の開設という案がでました。

当院で整形外科部門の新たな強みを作りたいという思いと、ゴルフ寿命を延ばしたいという思いが重なり、今回の開設に至りました。

ゴルフフィジオトレーナー
(認定Golf-Physio-Trainer®︎)認定証

GPT Japan学会で発表。右隣はゴルフフィジオセラピージャパン(GPT Japan)代表の宇於崎孝さん

身体への負担が少ない最新の 指導法で症状を改善

現在、ゴルフ外来に通われている患者さまは10名ほどです。症状として多いのは、体をひねったときの腰や膝、肩の痛み、あるいは背中全体の痛みですが、中には半年ほど前に手を骨折して手術を受け、最近プレートが外れたためゴルフ復帰に向けリハビリを行っている方もいます。

ゴルフはいくつになっても楽しめるスポーツですが、長く続けているうちに、スイング時に痛みを感じるようになることがあります。その原因の1つはフォーム。タイガー・ウッズが全盛期の頃は、打つときに頭を動かさないというのが主流でしたが、今は違います。体を大きく回すのに頭だけ固定していると、首や肩、胸などに過剰な負担がかかり、故障につながることがあるため、頭は自然に動かすように指導するのが一般的です。

こうした最新の指導法を織り交ぜながら、ご本人が普段スイングで意識していることなどをお聞きして、負担のかからないフォームや自主トレのアドバイスを行っています。 
指導した患者さまから「寒い時期にラウンドすると腰が痛んでいたが改善した」「残り3ホールくらいで腰の痛みが強くなり、中断を余儀なくされていたが最後まで痛みなく回れるようになった」という声を聞いて、私たちもうれしくなり、ゴルフ外来を始めて本当に良かったと思います。

課題は広報ですが、院内のポスターやゴルフ専門リハビリ公開講座をきっかけに受診してくださる患者さまもいます。より多くの方に当院のゴルフ外来とゴルフフィジオトレーナーについて知ってもらい、“ゴルフ寿命”を延ばしてQOL(生活の質)を高めるサポートをしていきたいと思っています。

ゴルフ練習場にて

ゴルフフィジオトレーナー(認定Golf-Physio-Trainer®)

ゴルフに特化したトレーニングを指導する資格で、ヨーロッパ ゴルフフィジオセラピー&ゴルフメディカルセラピー協会(EGAGP)が認定する。対象は理学療法士、医師、アスレチックトレーナー、その他の運動指導専門家。3日間(32時間)の講習会を受講後に認定試験(筆記)を受け、合格後、協会へ会員登録を行うことで資格を取得することができる。日本には260名のゴルフフィジオトレーナーがおり、全国各地で多くのゴルファーの障害を予防および改善し、ゴルフを楽しく健康的に実践できるよう指導している。

イムス三芳総合病院