オシゴトいろいろ

患者さまのお世話、 会話によろこび

仕事への姿勢やマナーに 魅力を感じて日本へ

私はミャンマーで生まれ育ち、2019年10月に介護職種の技能実習生として来日しました。

さまざまな職種の中から介護を選んだ理由は、ミャンマーでも患者さまのお世話をする仕事に就いていたことと、「おじいちゃん」「おばあちゃん」と関わることが大好きだからです。日本はミャンマーと同じく仏教文化がある国なので親しみを感じていました。「日本はよいところだよ」と言う人も多く、仕事に厳しいところや、マナーを守るところにも魅力を感じました。

技能実習生になるためには、まず自国で日本語能力試験N4レベル以上を身に付けなければなりません。家庭教師に習ってN3程度の日本語力を付けたあと、技能実習生を育成する学校で勉強。日本のドラマやアニメも観ました。N2まで日本語力を高めて来日し、当院に入職しました。

日常的な会話には困りませんでしたが、“医師”と“石”など同音異義語の理解が難しかったです。入浴介助やおむつ交換などの介護業務も、最初はすごく緊張しました。実際に行う前に研修があり練習もしましたが、患者さま一人ひとりの体格や体重、関節の可動域などが異なり、難しさを実感。

失敗してしまったこともあります。寝たきり患者さまの入浴介助中に、インシデントを起こしてしまい、すぐに看護師を呼んで対処し、大事にはいたりませんでしたが、本当に申し訳ない気持ちで涙が出ました。今まで以上に注意して介護しようと決心しました。

回復期リハビリテーション病院の患者さまは年齢の幅が広く生活背景もさまざま。丁寧な対応が好きな方、堅苦しくない対応が好きな方など、患者さまの性格に合わせてコミュニケーションを工夫している

2度目の挑戦で国試合格! 将来は後輩の育成も

技能実習生は、実習3年(技能実習1号:1年間+技能実習2号:2年間)を終えると一時帰国できますが、コロナ禍や自国の内戦の影響で断念。日本で長く働こうと決意し、2022年に「特定技能1号」の試験(実技と筆記)を受けました。

無事合格し、次はいよいよ介護福祉士国家試験に挑戦です。2023年度の試験は実務者研修などが重なって勉強時間を十分に確保できず、5点足りなくて不合格。翌日から猛勉強を始め、ミャンマー人講師によるオンライン講習(週4回)のほかYouTubeでも勉強しました。オンライン講習は21時開始だったので、夜勤の日は帰宅して休む間もなく受講し、そのまま深夜1〜2時まで勉強することも。YouTubeは料理など家事をしながら見て、わからないところは後で調べるなど、合格したい一心で必死に頑張りました。ですから合格を知った瞬間はとにかくうれしかったです!

いまは入浴介助も楽しいです。患者さまの体をきれいにすることが好きですし、いろいろなお話ができるのも楽しい。私はいま妊娠中なのですが、「おなかをぶつけないようにね」など、人生の先輩として心配してくださったり、知恵を授けてくださいます。たくさんお話することで日本語力もアップします。

まだ周りからサポートしてもらうことも多いですが、介護福祉士として自分を高め、日々の介護業務はもちろんのこと、各種委員会やレクリエーションの企画にも積極的に参加、ゆくゆくは日本で働きたい外国人を勉強の面などで支援したいと思っています。

日本に入国して1ヵ月、入国後研修を受けている私(右)。スムーズに進まないこともあったけれど、いろんな経験を積み、一歩ずつ着実に進んだ方が自分のためになる。技能実習生から介護福祉士を目指す人には「学ぶことが大切」と伝えたい

介護福祉士

身体や精神の障害のために日常生活に支障がある人に対して介護を行う介護福祉の専門職で、介護に関わる唯一の国家資格。合格率は78.3%(2024年度)。国家試験受験資格を得るルートは ①養成施設(大学や専門学校)を卒業 ②福祉系高校を卒業 ③3年以上の実務経験+実務者研修の終了の3パターンがある。また近年制度化された外国人介護受け入れの仕組みについてはEPA(経済連携協定)・在留資格(介護)・技能実習・特定技能の4制度がある。

このうち技能実習生の場合は、母国で日本語能力試験N4レベルを身に付けて来日し、技能実習1号(実習1年目)、技能実習2号(実習2〜3年目)として働いたのち、技能実習3号(2年間)または特定技能1号(5年間)へ進み、この間に介護福祉士試験を受ける。受験のためには日本語能力試験N2レベル相当の日本語能力が必要であり、日本人と同じ内容の試験を日本語で受ける。介護福祉士になると永続的な在留資格を得られる。技能実習生からの介護福祉士取得は、IMSグループとしてはニェインさんが第1号となる。

イムス横浜東戸塚総合リハビリテーション病院