突撃!!イムス探険隊

国際規格「ISO 15189」認定取得施設
臨床検査のトップランナーとして専門知識と技術を研鑽

国際規格をクリアした品質管理体制のもとで高度な臨床検査を実現

 株式会社アイルは、130を超える病院・医療施設を擁するIMSグループ傘下の臨床検査センターです。
 設立42周年を迎え、臨床検査の専門的知識と高精度な検査結果の提供により、患者さま・入所者さまの日々の健康維持、向上をサポートすることを基本理念としています。
 臨床検査は疾病の早期発見や予防、治療の判断に欠かせません。検査分野は生化学・免疫学・血液学・微生物学・病理学。より高度な専門技術を備えたアイルと、各病院内の臨床検査部門とが、共通の検査システムを導入し、迅速、正確、高精度な検査データの報告に努めています。
 2018年3月には臨床検査のトップランナーとして、「ISO 15189(臨床検査室―品質と能力に対する要求事項)」の認定を取得。これは検査室の品質マネジメントシステムと臨床検査の技術能力を求める国際規格であり、ISO(国際標準化機構)により設定されたもの。さらに本年8月には派遣された審査員による審査を経て最新の2022年度版に更新しました。

血液成分の分析装置

白血球・赤血球・血小板の個数、分布、形状などを測定。1時間に約400件を処理する

顕微鏡でチェック

光学的顕微鏡で標本を確認

ISO 15189の認定証

血液学的検査

健常な血液の顕微鏡写真
様々な種類の白血球がバランスよく分布

白血病が疑われる血液
異常細胞が大半を占めている(普通の白血球が認められない)

検査データをもとに個別化医療に貢献する

 

 一般になじみ深いのは血液検査でしょう。特に赤血球、白血球、血小板など血液成分の個数と分布、細胞形態の鑑別は、白血病やリンパ腫など深刻な疾患をスクリーニングする上で重要です。まず装置で解析し、正常値を逸脱した血液は、標本を作製後、顕微鏡を用いて経験を積んだ技師の目で鑑別されます。疑いがあれば当日中に病院へ結果を報告し、骨髄像など追加の検査を提案。特に検査対象者が小児であれば、治療は一刻を争うため、迅速で正確な対応が求められます。 健康診断で耳にするγ‒GT、コレステロール、血糖値、ヘモグロビンA1cなどをはじめ70以上の検査項目は自動分析装置で短時間に測定可能です。 一方、感染症の原因菌究明は微生物学部門の役割。血液、尿、喀痰、髄液等の体液、皮膚、粘膜など採取した検体の細菌を35 ℃の孵卵器内で培養。熟練の技師はにおいや色、形状を見ただけで菌種を特定できます。 もっとも慎重を期するのが特定した細菌に対する各種抗菌薬(抗生物質)の効果判定。薬が効かない菌(薬剤耐性菌)であれば治療効果が望めず、また不適切な抗菌薬を不用意に投与すれば、新たな薬剤耐性菌を産み出すリスクがあります。 病院内には免疫力の低下した患者さまが多くいらっしゃいます。たとえ毒性が低く健常者なら何でもない細菌でも薬剤耐性菌に変化してしまえば一大事。対策はWHO勧告のもと、世界各国が取り組む重要課題。臨床検査技師はその一翼を担い、医師や薬剤師と連携して適切な感染症治療をサポートしています。 近い将来、臨床検査によって蓄積されたビッグデータを元にAIが診断補助に活かされていくでしょう。その中で臨床検査技師は、常に疑問点を設定・検証する「科学者の視点」を持ち続けることが必要です。そして患者さま一人ひとりにふさわしい個別化医療の水先案内人となる。それがアイルが一番大切にしている使命です。

 

生化学的検査

遠心分離機で血液を遠心
まず検査の前に遠心分離機で血清と血球成分に分ける

検体(血液)の分注
採取した検体を必要本数に分注し、各分析装置で測定する

70項目以上の生化学検査が可能
(左)γ-GT、アルブミン、コレステロールなど様々な検査をシステムで管理し実施
(右)血糖値やヘモグロビンA1cを測定

抗原・抗体検査
血清中の抗原・抗体を測定する免疫分析装置。アレルギーや膠原病など免疫系疾患、各種ウイルス感染の有無が分かる

微生物学的検査

培地で菌を培養
検体を培地に塗り、35℃の孵卵器内で細菌を培養し特定。これは溶血性連鎖球菌(いわゆる溶レン菌)

敗血症の原因菌を特定
敗血症の疑いのある患者さまの血液を専用の孵卵器に収め、菌の増殖を待つ

ウイルスの遺伝子抽出
安全キャビネット内で検体に遺伝子抽出用の試薬を入れ遺伝子を抽出し、遺伝子を増幅する装置で判定。新型コロナウイルス感染症で有名になったPCR検査はこれに該当

菌種を特定する機器(質量分析装置)
培養した細菌の菌種を特定する先端機器。2002年ノーベル化学賞を受賞した田中耕一氏開発の「レーザーによる質量分析」の技術を用いて菌の波形を読み取り、膨大なライブラリデータの波形と照合して菌種を特定

Staff Voice

血球から疾患を読み解き、 治療につなげる

精度管理責任者・血液学 係長
宮本 真澄
臨床検査技師
血液はヒトの体を離れても、様々なことを語ってくれます。分析装置がどれほど進化しようと、疾患スクリーニングの最後の砦は、私たち臨床検査技師が“違和感”を察知する感性と鍛えた観察眼。直接患者さまと対面することはありませんが、命をお預かりする緊張感をもって、検査に臨んでいます。各病院の検査部門とコミュニケーションを密に図り、検査結果を迅速に届けます。

感染症治療は、薬剤耐性菌との闘いです

微生物学 係長
石井 里枝
臨床検査技師
抗菌薬(抗生物質)の発達は感染症治療の福音となりましたが、同時に薬の効かない薬剤耐性菌を産生・増殖させるリスクをはらみます。2050年には薬剤耐性菌による感染症で、世界で1000万人が死亡するとWHOが勧告。抗菌薬の不適切な使用を防ぐため、私たちは細菌の薬剤感受性試験を高精度に実施しています。抗菌薬は風邪の原因となるウイルスに効果はありませんので、ぜひ知っておいていただきたいです。

アイルのイノベーションを牽引

検査科長
都築 洋
臨床検査技師
ISO 15189の認定取得と更新に中核メンバーとして参画しました。課題を一つずつ解決し、社員一人ひとりと意思疎通を図りながら環境を整備し、個々のスキルを上げていく。やり遂げた自信は当社の宝物です。臨床検査領域はAI対応を含め今後も技術革新が進みます。将来を見据え、今後も地域社会の医療に貢献していく所存です。

株式会社アイル