オシゴトいろいろ

転倒骨折を予防し住民の健康寿命を伸ばす

院内外で骨粗鬆症を啓発「骨の健康度チェックも」

骨粗鬆症は、骨密度(骨塩量)が減って骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。高齢者の場合、転んで脚の付け根を骨折すると寝たきりになることも少なくありません。このような骨粗鬆症の知識を患者さまだけでなく一般の方にも伝え、骨粗鬆症と骨折の予防につなげることが、私たち骨粗鬆症マネージャーの役割です。

私は診療放射線技師なので、普段は骨塩量を調べるDXA(デキサ)検査を受けた患者さまに対して知識の提供やアドバイスを行っています。具体的には、骨粗鬆症財団の「骨の健康度チェック」を用いて問診を行い、骨密度測定結果シートに測定値と問診結果に基づくコメントを記入。担当医を通じて患者さまにお渡ししています。

院外でも活動しており、毎年初夏に開催される「温泉まつり」に当院のスタッフの一員として参加し、「骨の健康度チェック」を行ったり、骨粗鬆症検診の案内をしています。「骨の健康度チェック」の結果によっては、一緒に参加している管理栄養士や理学療法士、作業療法士にバトンタッチし、より専門的なアドバイスを提供します。

骨粗鬆症検診をお勧めする場合は、当院独自のDXA検査割引クーポン券をお渡ししています。これは骨粗鬆症検診を受ける方を増やすための取り組みで、せたな町の温泉まつりのあとは10~20人ほどが受検に来てくださいます。結果を見ると約3割が骨粗鬆症の疑いがあり、専門医の受診を勧めています。

骨折して寝たきりになると、認知症のリスクや5年以内の死亡率も上がります。高齢化率の高いせたな町では、健康寿命を伸ばすために骨粗鬆症予防、転倒骨折予防が不可欠です。

※医師の指示でない骨粗鬆症検診は自費診療

骨密度(骨塩量)を測定するDXA検査。
骨折が起こりやすい腰椎と脚の付け根の骨(股関節)の2ヵ所を測定

当院となりの温泉ホテル駐車場で開催される「温泉まつり」。管理栄養士やリハビリスタッフと連携して骨粗鬆症啓発に取り組む

上司の活動に感銘し認定へ若い世代にも関心広げたい

私は、当院の上司が骨粗鬆症予防に取り組む姿を見て骨粗鬆症マネージャーに興味を持ちました。冒頭で説明したDXA検査を受けた患者さまへの「骨の健康度チェック」実施、骨密度測定結果シートへのコメント記入などは、もともと上司が自発的に行っていたことです。ここまで患者さまに親身になる診療放射線技師は見たことがなく、「自分もこんな活動をしたい」と思い、2023年に骨粗鬆症マネージャーの認定を受けました。

骨粗鬆症という言葉は世の中に浸透しましたが、骨がもろくなる原因や予防法まで理解している方は少ない印象です。若い頃からの骨の貯金が大切なこと、運動不足や痩せすぎも骨粗鬆症の危険因子になることなどが知られていないため、さらなる啓発が必要です。

また、骨粗鬆症は女性が7~8割を占め、若い頃に骨密度を測っておくことが予防につながるので、20代~40代の方にも骨粗鬆症検診を受けてもらえるように、院外での活動に今後も力を入れていきたいと思っています。

「骨の健康度チェック」
(公益財団法人骨粗鬆症財団)

骨粗鬆症マネージャー

骨粗鬆症領域における基本的知識と技能が備わった専門スタッフ(医師/歯科医師以外)として日本骨粗鬆症学会が認定する。骨粗鬆症の予防、診断と治療を提供し、また広く社会啓発活動を行うことで、超高齢社会における健康格差の縮小と健康寿命の延伸に貢献することを目指す。同学会で実施する骨粗鬆症マネージャーレクチャーコースを1回以上受講し、過去3年以内に同学会学術集会に参加すると認定試験受験資格が得られる。

道南ロイヤル病院