オシゴトいろいろ

「人工心肺装置」操作・管理の専門技術を持つ医療専門職

年間約100件の心臓手術で人工心肺装置を操作

病院には様々な医療機器があります。とくに血液浄化装置や人工心肺装置、人工呼吸器など、生命維持管理装置の操作には専門的な知識と技術が必要ですが、その中でも人工心肺やECMO(エクモ)(体外式膜型人工肺)など、体外循環装置と呼ばれる機器を医師の指導のもと扱う専門技術者が体外循環技術認定士です。
私は2019年に医療機器の操作や点検管理を行う臨床工学技士(CE)として入職。2025年に体外循環技術認定士の認定を受けました。
現在勤務しているのは手術室です。朝一番の仕事は麻酔器の立ち上げと点検。そのあと、心臓外科手術などで使う人工心肺装置をセッティングします。当院で行われる人工心肺装置を使った手術は年間約100件。手術の際は、人工心肺装置を用いて全身の循環管理を行うメインCEと、手術のために一時的に止めている心臓の保護を担当するサブCEが2人セットで入ります。メインCEは4年以上の経験を持つCEが担当し、体外循環技術認定士の私も多くの手術でメインCEを務めています。
手術を安全に精度高く行うためには、多職種によるチームワークが必須。執刀医・麻酔医・看護師・私たちCEなどが常にコミュニケーションを取り合い、お互いの動きを把握することが事故やトラブルの防止につながります。
また、業務の流れを統一し、職種間で共有することによって、わずかな変化・異変にも気づきやすくなります。心掛けているのは「いつもと同じように」です。
しかし、いつもと同じであっても確認は怠りません。装置の回路を何度もチェックするなど、緊張感と集中力を持って職務にあたっています。
手術後はICUに入った患者さまの様子を必ず見に行き、術後の状態や装着されている生命維持管理装置の動きなどを確認します。患者さまに対する責任ももちろんありますが、体外循環技術認定士としての今後の症例に活かすためです。

心臓血管外科手術で人工心肺装置を操作・管理。様々な医療機器が同時に使用されるため緊張が続く。執刀医、麻酔医、看護師との連携が欠かせない

事前のチームカンファレンスで機器のセッティングについて打ち合わせ

自身も人工心肺装置を使った心臓手術を経験

人工心肺装置を使った手術を受けたのは5歳のとき。「心房中隔欠損」という生まれつきの病気で、左右の心房を隔てる壁に穴があいていたため、閉じる手術をしました。当時の記憶はほとんどありませんが、今でも定期検診に通っています。後遺症などはなく、学生時代はテニスをするなどスポーツも普通にできます。
小さい頃にテレビの不具合を直したことがあり、祖母が「機械が得意だねー」と褒めてくれたことがきっかけで機械が好きになったのをよく覚えています。母が看護師ということもあり、医療と機械(工学)を兼ね備えた職業に就きたいと思い臨床工学技士を志しました。当院に入職したのは、心臓血管外科があって人工心肺装置の操作に携われるからです。
CEが扱う医療機器は患者さまの命に直結するので、手術室配属後の数年間は怖さで吐き気がしたり、夜眠れないこともありましたが、自分のやりたいことを貫くんだ、やるしかないと腹をくくり、乗り越えました。
今は私の命を救ってくれた人工心肺装置を極めたいと強く思っています。臨床工学科のCE 27名中、体外循環技術認定士は2名。試験勉強は大変で、認定の更新にも症例の提出が必要ですし、知識のアップデートのため学会参加も欠かせませんが、高い専門性を身に付けることでよりよい医療の実現に貢献できます。医師や看護師と連携して一人でも多くの患者さまを救うことが、CE、体外循環技術認定士の使命だと考えています。

体外循環技術認定士

心臓血管外科手術等で人工心肺やECMO(体外式膜型人工肺)などの体外循環装置を操作する専門技術を持つ医療従事者(医師・臨床工学技士・看護師・准看護師)のこと。日本人工臓器学会、日本胸部外科学会、日本心臓血管外科学会、日本体外循環技術医学会が合同で認定する。受験条件は一定の実務経験を有すること、日本体外循環技術医学会教育セミナーを履修し、所定の単位を取得すること、30 症例以上の人工心肺使用の体外循環の操作経験または 25 例以上の人工心肺使用の体外循環の操作経験かつ、ECMO使用の体外循環について規定の経験があることなど。

新松戸中央総合病院