胃部内視鏡検査
胃カメラでわかること
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)で発見・診断される病変の例です。
検査で指摘された事項や気になる事項をご確認いただき、今後の参考にしていただければと思います。
食道
- 逆流性食道炎
- 食道裂孔ヘルニア
- バレット食道
- カンジダ食道炎
- 食道乳頭腫
- 食道粘膜下腫瘍
- 食道異所性胃粘膜
- 食道静脈瘤
- 食道孤立性静脈拡張
- 食道憩室
- 食道グライコジェニック・アカントーシス
- 食道異所性皮脂腺
- 食道アカラシア
- 食道癌
胃
- 萎縮性胃炎
- ピロリ菌除菌後胃粘膜
- 胃腸上皮化生
- 鳥肌胃炎
- びらん性胃炎
- 表層性胃炎(稜線状発赤)
- 胃潰瘍
- 胃底腺ポリープ
- 胃過形成性ポリープ
- 胃粘膜下腫瘍
- 胃迷入膵
- 胃キサントーマ(黄色腫)
- 胃白色扁平隆起
- 胃憩室
- 胃血管拡張
- 胃アニサキス症
- 胃 MALT(マルト)リンパ腫
- 胃腺腫
- 胃癌
十二指腸
概要
主に胃酸が胃から食道に逆流することで起こる炎症です。
症状
胸焼け、みぞおちの痛みなどが起こります。寝ているときや朝方に症状が出やすい傾向があります。
対策
逆流予防のため、過食過飲は避け、食後すぐに寝るのは控えましょう。アルコールやコーヒー、高脂肪食品も悪化させる要因となります。症状が強い時には消化器内科にご相談ください。
概要
逆流しないように閉じている胃と食道の境界が緩くなり、胃が胸部にとびだした状態です。
症状
逆流により、胸焼けやみぞおちの痛みが出ることがあります。
対策
症状がある時は逆流を予防することが望まれます。過食過飲は避け、食後すぐに寝るのは控えましょう。大きなヘルニアは手術の対象となりますが、多くは治療不要で、心配はありません。
概要
逆流性食道炎により粘膜が傷害され、食道の粘膜が胃の粘膜に置き換わった状態です。
症状
バレット食道そのものに症状はありませんが、胸焼けやみぞおちの痛みなどの逆流症状が同時にみられることがあります。
対策
範囲が短い場合には心配はほぼありません。範囲が長い場合には、悪性腫瘍の原因となり得るため経過観察が必要です。
概要
食道にカンジダというカビの一種が生えた状態です。免疫低下との関連も言われています。
症状
無症状のことも多くありますが、程度によってはつかえ感や胸部の痛みを感じることもあります。
対策
免疫低下の原因がある場合はそちらの治療を行い、症状がある場合にはカンジダに対する内服治療を行います。症状がある場合には消化器内科にご相談ください。
概要
食道に発生する良性腫瘍です。食道の場合は悪性化することは極めて稀です。
症状
基本的には症状はありません。
対策
基本的には治療不要で、心配はありません。
概要
食道の粘膜の下、筋層などに発生した腫瘍です。食道の場合は平滑筋腫という良性腫瘍が最多ですが、稀に悪性の場合もあります。
症状
大きな腫瘍の場合、つかえ感などの症状が出ることがあります。
対策
小さい場合には定期的な経過観察を行います。大きい場合や症状がある場合、経過観察中に大きくなってきた場合には手術を行うこともあります。
概要
食道の粘膜内に胃の粘膜が取り残された状態です。飲み込んですぐの上部食道、もしくは胃との境界付近によく見られます。
症状
基本的には症状はありません。
対策
基本的には治療不要で、心配はありません。
概要
肝硬変などの疾患を背景に、食道の静脈が拡張、瘤のような状態になったものです。大半が食道と胃の境界付近に発生します。
症状
静脈瘤自体での自覚症状はほとんどありませんが、瘤になった血管が破れることで大出血を起こす恐れがあります。
対策
出血リスクが高い、進行した静脈瘤の場合には治療を要します。経過観察可能な段階でも、出血リスクを下げるための管理が必要となります。治療可能な病院への受診が望まれます。
概要
食道の上部・中部に発生することの多い、限局的に拡張した静脈です。瘤のように食道内に突出して見えますが、食道静脈瘤とは異なり、出血の原因となることはほぼありません。
症状
基本的には症状はありません。
対策
基本的には治療不要で、心配はありません。
概要
食道外に飛び出すポケット状の構造で、内視鏡ではくぼみとして観察されます。
飲み込んですぐの上部食道にできるものや、食道中部にできるもの、食道と胃の境界付近にできるものなど、要因によりいくつかの種類があります。
症状
小さいものの場合には症状はありません。憩室の場所や大きさによっては、飲み込みにくさやつかえ感などの症状が出てくることがあります。
対策
症状がある場合には治療の対象となります。治療としては手術が必要となることがあります。
概要
食道内のグリコーゲンという成分を多く含んだ細胞による限局的な粘膜の肥厚です。小さな白色調の隆起として観察されます。
症状
基本的には症状はありません。
対策
基本的には治療不要で、心配はありません。
概要
通常は皮膚に存在する皮脂腺が食道にできた状態です。多くは黄白色調の小隆起として観察されます。
症状
基本的には症状はありません。
対策
基本的には治療不要で、心配はありません。
概要
食道の運動機能の異常により、食道と胃の境界が弛緩せず、食べたものが食道に停滞してしまう疾患です。拡張した食道が特徴的です。
症状
食事のつかえ、食後の嘔吐がみられます。初期段階では胸やけやみぞおちの痛み、体重減少などが出てくることもあります。
対策
軽度の場合には内服などで経過を見ることもありますが、症状や進行具合によっては内視鏡治療、手術が必要になることもあります。
概要
飲酒や喫煙などがリスクとなります。頭頸部癌や食道癌の治療を過去にしたことがある場合もリスクとなります。悪性腫瘍であり、精密検査、治療を要します。
症状
進行しない限り、症状はないことが大半です。進行するとつかえ感や痛みなどの症状が出ることがあります。
対策
診断がついた場合、早期癌であれば内視鏡治療(胃カメラでの切除)が可能な場合があります。
進行すると手術、放射線、抗癌剤を組み合わせての治療となります。
早期発見が重要であり、リスクのある方は定期的な胃カメラをお勧めします。
概要
慢性胃炎であり、ピロリ菌感染が原因として多く見られます。胃癌のリスクとなります。
症状
胃もたれや鈍痛、食思不振などの症状が出ることもありますが、多くは自覚症状がありません。
対策
ピロリ菌感染をしている場合には、除菌治療が推奨されます。ピロリ菌がいなくても、萎縮がある場合には胃癌のリスクであり、毎年の胃カメラが推奨されます。
概要
ピロリ菌除菌後、萎縮性胃炎が残存した状態です。ピロリ菌感染が持続している状態よりは胃癌リスクが下がりますが、正常粘膜よりはリスクを伴います。
症状
胃もたれや鈍痛、食思不振などの症状が出ることもありますが、多くは自覚症状がありません。
対策
ピロリ菌除菌により胃癌リスクは低下したものの、まだリスクが残った状態です。毎年の胃カメラが推奨されます。
概要
ピロリ菌除菌後、胃の粘膜が腸の粘膜に変化した状態です。ピロリ菌感染した状態よりは胃癌リスクは下がりますが、腸上皮化生があると、ない場合と比べて胃癌リスクが上がります。
症状
基本的には症状はありません。
対策
ピロリ菌除菌により、胃癌リスクは低下したものの、まだリスクが残った状態です。毎年の胃カメラが推奨されます。
概要
胃の粘膜に鳥肌のように小隆起が密集・多発した状態です。ピロリ菌感染によって生じることが多く、比較的若年にみられることが多いのも特徴です。
胃癌のリスクでもあり、治療をすることで改善が見込まれます。
症状
基本的には症状はありません。
対策
ピロリ菌の確認、除菌が必要です。除菌後は経時的に改善が期待されますので、定期的な胃カメラでの経過観察が望まれます。
概要
胃粘膜が浅い傷害を受けた状態です。飲酒や喫煙、鎮痛剤、刺激物摂取、ストレスなど多くの原因があります。
症状
程度によって、痛みや胃もたれなどの症状が出ることがあります。
対策
原因となるものを控えたり、避けるようにしましょう。症状が強い場合には消化器内科にご相談ください。
概要
胃酸の影響などにより、胃粘膜の表面が発赤した状態です。ピロリ菌感染していない胃に多く見られます。
症状
症状はないことがほとんどです。
対策
基本的には治療不要で、心配はありません。
概要
胃粘膜が深い傷害を受けた状態です。飲酒や喫煙、鎮痛剤、刺激物摂取、ストレスなど多くの原因があります。
症状
痛みなどの症状が出ます。また、出血することもあり、吐血や下血の原因となります。重症では胃に穴があき、入院治療を要することがあります。
対策
治療が必要です。軽症であれば内服での改善も期待されます。消化器内科を受診してください。
概要
胃にできるポリープで最も頻度が高いものです。良性であり、腫瘍でもありません。ピロリ菌感染していない胃によく見られ、複数存在することも多くあります。
症状
基本的には症状はありません。
対策
基本的には治療不要で、心配はありません。
概要
主に慢性炎症を背景に発生したポリープです。ピロリ菌感染との関与が考えられます。良性ですが、癌になるポリープもまれにあります。
症状
基本的には症状はありません。ただし、大きい場合には出血の原因となり得ます。
対策
大きい場合や、癌の合併を疑う場合には治療の対象となります。その他の場合でも、癌化のリスクがあるため、毎年の胃カメラが推奨されます。
概要
胃粘膜の下、筋層などから発生した腫瘍です。良性のものも多く含まれますが、中にはGISTと呼ばれる治療を要するものもあります。
症状
基本的には症状はありません。
対策
小さい場合には経過観察を行います。大きい場合や悪性を疑う場合、経過観察中に大きくなってきた場合には精密検査、治療を要します。毎年の胃カメラが推奨されます。
概要
膵臓の組織の一部が、発生の段階で胃に紛れ込んでしまったものです。胃の出口付近にみられることが多く、粘膜下腫瘍と類似した見た目をとります。
症状
基本的には症状はありません。
対策
稀ではありますが悪性化の報告もあり、定期的な胃カメラでの経過観察が望まれます。
概要
胃の粘膜内に白血球が集まってできた黄色調に見える領域で、ピロリ菌との関与が考えられます。除菌後の胃に見られることもあります。
症状
基本的には症状はありません。
対策
ピロリ菌除菌後であれば治療は不要で、心配はありません。
概要
ピロリ菌除菌後や、胃酸を抑える薬を内服中に見られることがあるものです。名前の通りの見え方をします。
症状
基本的には症状はありません。
対策
基本的には治療不要で、心配はありません。
概要
胃の外に飛び出すポケット状の構造で、内視鏡ではくぼみとして観察されます。
症状
胃の場合には基本的には症状はありません。
対策
基本的には治療は不要で、心配はありません。
概要
胃の毛細血管が拡張したもので、多くは限局的です。拡張した血管が観察されます。
症状
基本的には症状はありません。まれに、出血の原因となることがあります。
対策
出血の原因となる場合には内視鏡治療が必要となります。限局的な拡張の場合には多くは治療不要で、心配はありません。
概要
魚介類に住むアニサキスという線虫が、魚介類を食べたことで一緒に口から入り、胃の中で壁に取りついた状態です。
症状
激烈な腹痛に襲われ、胃カメラを受けることで診断がつきます。症状がほとんどなく、偶然胃カメラで見つかることもあります。
対策
胃カメラで見つけた際に、除去することができます。除去することにより、症状は軽快することがほとんどです。かからないためには、調理法などの見直しが有効です。
概要
リンパ腫という、胃のリンパ組織にできた悪性腫瘍の一種です。MALTリンパ腫は胃のリンパ腫の中で最も多いものとなります。ピロリ菌感染が関連していることが分かっており、ピロリ菌除菌が有効です。
症状
痛みや吐き気などの症状がでることや、進行すると出血する場合や、胃に穴があく場合がありますが、特に症状がなく、偶然見つかることもあります。
対策
ピロリ菌感染している場合には除菌治療を行います。除菌治療で不十分な場合には化学療法や放射線治療が行われることがあります。専門家の下での治療が必要です。
概要
胃の良性腫瘍です。癌ではありませんが、悪性化する可能性があり、治療が検討されます。
症状
基本的には症状はありません。
対策
治療を検討する必要があり、少なくとも消化器内科でご相談いただく必要があります。治療を行う場合には、内視鏡治療(胃カメラでの切除)が選択される可能性が考えられます。
概要
悪性腫瘍であり、治療が必要です。原因としてはピロリ菌感染があります。ただし、確率は下がるもののピロリ菌が感染していない胃癌もあり、感染がなくとも定期的な検査を受けることが望まれます。
症状
早期であれば、症状がないことが大半です。進行すると出血や痛み、食事摂取困難になることもあります。
対策
診断がついた場合、早期癌であれば内視鏡治療(胃カメラでの切除)が可能な場合があります。進行すると手術や抗癌剤を組み合わせての治療となります。
早期発見が重要であり、個々人に応じた検診が望まれます。リスクのある方は特に胃カメラでの定期的な観察をお勧めします。
概要
十二指腸粘膜が浅い傷害を受けた状態です。飲酒や喫煙、鎮痛剤、刺激物摂取、ストレスなど多くの原因があります。
症状
程度によって、痛みやもたれる感じなどの症状が出ることがあります。
対策
原因となるものを控えたり、避けるようにしましょう。症状が強い場合には消化器内科にご相談ください。
概要
十二指腸粘膜が深い傷害を受けた状態です。飲酒や喫煙、鎮痛剤、刺激物摂取、ストレスなど多くの原因があります。
症状
痛みなどの症状が出ます。また、出血することもあり、吐血や下血の原因となります。重症では十二指腸に穴があき、入院治療を要することがあります。
対策
治療が必要です。軽症であれば内服での改善も期待されます。消化器内科を受診してください。
概要
ブルンネル腺過形成は、十二指腸にもともと存在するブルンネル腺が過剰に増殖したものです。
胃カメラだけでは診断を確定するのが難しい場合もあり、十二指腸ポリープや十二指腸粘膜下腫瘍と診断されることもあります。ポリープや粘膜下腫瘍は形態を示した表現であり、実際には様々な病変が含まれます。
症状
基本的には症状はありません。
対策
ブルンネル腺過形成との確信があれば基本的には問題ありません。ポリープや粘膜下腫瘍の場合には1年後に胃カメラで経過を見ることが望まれます。
概要
十二指腸の粘膜面の一部に、本来は無いはずの胃粘膜が存在する状態です。
症状
基本的には症状はありません。
対策
基本的には治療は不要で、心配はありません。
概要
十二指腸外に飛び出すポケット状の構造で、内視鏡ではくぼみとして観察されます。
症状
基本的には症状はありません。憩室の場所や大きさによっては、胆管炎などの原因となることもあります。
対策
基本的には治療は不要で、心配はありません。腹痛、発熱などで病院を受診した際には十二指腸憩室があることをお伝え下さい。
概要
十二指腸の良性腫瘍です。癌ではありませんが、悪性化する可能性があり、治療が検討されます。また、腺腫の一部に癌が含まれている可能性もあり、胃カメラでの正確な診断が難しい場合もあります。
症状
基本的には症状はありません。
対策
治療を検討する必要があり、少なくとも消化器内科でご相談いただく必要があります。治療を行う場合には、内視鏡治療(胃カメラでの切除)が選択される可能性が考えられます。
比較的めずらしい疾患であり、治療にあたっては経験を有する施設で相談することが望まれます。
概要
悪性腫瘍であり、治療が必要です。比較的めずらしい疾患ですが、近年報告も増えてきています。
症状
早期であれば症状はありません。進行すると出血や通過障害が出ることがあります。また、癌の場所によっては肝臓からの消化液がせきとめられ、黄疸という体が黄色くなる症状が出ることもあります。
対策
診断がついた場合、早期癌であれば内視鏡治療(胃カメラでの切除)が可能な場合があります。進行すると手術などの治療となります。比較的めずらしい疾患であり、特に内視鏡治療にあたっては経験を有する施設で相談することが望まれます。