放射線被曝を低減した最新型のバイプレーン血液撮影装置。血管撮影室では、X線透視画像やワークステーションで構築した立体画像などをもとに、機械的血栓回収術やコイル塞栓術など血管内治療を行う
血管の細部まで確認できるMRI(磁気共鳴画像診断)装置
脳卒中は脳の血管に血栓の詰まる脳梗塞と、血管から出血して血腫のできる脳出血に大別でき、さらに脳出血は細い血管が破れる脳出血と、太い脳動脈にできた脳動脈瘤が破裂するくも膜下出血に分類されます。いずれも病変部から先の神経細胞に酸素と栄養が届かず壊死が進むので、迅速な治療と的確な全身管理が生命予後と機能予後を大きく左右します。
横浜旭中央総合病院は、横浜市内では8ヵ所しかない「一次脳卒中センターコア施設」の認定を受けた中核医療機関であり、横浜市の脳血管疾患救急医療体制参加医療機関です。
脳卒中が強く疑われる患者さまは、地域の救急隊が真っ先に当院へ搬送。近隣のクリニックから要請を受け、当院から医師・救命救急士が同乗する病院所有の救急車で迎えにいくサービスも実施しています。
副院長の小櫃久仁彦医師をリーダーに、脳神経外科医、脳神経内科医、麻酔医、看護師、薬剤師、管理栄養士、放射線技師、臨床工学技士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士などが「脳卒中チーム」を組織し、24時間365日救命治療に尽力しています。
迅速診断のため、CTとMRIには脳血管や血流、ペナンブラ(血流再開で救済可能な虚血領域)など病態を把握する機能を搭載。チームはただちに治療戦略を組み立てます。脳梗塞で適応があれば、血管撮影室で機械的血栓回収術を開始。最新の血管撮影装置により、リアルタイムで得られるX線透視画像、断層画像、立体画像の下、鼠径部などの動脈から患部へカテーテルを送ってステントや吸引ポンプで血栓を除去し、血流を再開させます。身体への負担の少ない血管内治療です。
くも膜下出血では、血管内治療として、破裂した脳動脈瘤に極細のコイルを送り込むコイル塞栓術と、開頭で瘤の根元を留めるクリッピング術のいずれかを、患者さまの病態や年齢を勘案して実施します。
開頭手術のために、蛍光診断機能のある高性能手術顕微鏡2台も導入しています。一方、細い血管の内出血には、頭蓋骨に小さな穴をあけ、神経内視鏡を用いる低侵襲治療が主流です。
核医学検査(RI)装置。脳の血流を判定し、脳梗塞後の血行再建術(浅側頭動脈中大脳動脈吻合術)の適応などを調べる
高速80列のマルチスライスCTとAIによる革新的な画像処理技術で脳の断層写真や立体画像を素早く描出
神経内視鏡。脳卒中では頭蓋骨に10円玉ほどの孔を開け、脳出血による血腫を取り除く際に活躍