突撃!!イムス探険隊

最新の血管撮影装置とハイエンドMRIが高度脳卒中治療を実現

脳疾患をしっかり識別するMRI

最新鋭3テスラのシーメンス社製MRI「MAGNETOMSkyra(スカイラ)」。他に1.5テスラのMRIが2台

血管撮影室に隣接する操作室。診療放射線技師がワークステーションで画像を構築

当院ではMRI検査時間を極限まで短縮し、到着から20分台で脳卒中治療をスタート ※D2P:病院到着から穿刺までの時間

脳卒中の迅速検査・治療に威力を発揮するのはMRIと血管撮影装置です。
MRIは放射線を使わず、磁気で細胞が発する微弱な信号をキャッチ。モニター上に撮像して病変部を明らかにします。脳卒中の疑いで患者さまが搬送されたとき真っ先に行うのが「ディフュージョン(拡散強調画像)」。脳梗塞が白く描出されます。
梗塞が確認されたら、水の部分が黒っぽく描出される「フレア(水抑制画像)」をディフュージョンと見比べることで、血管に詰まった血栓のため壊死にさらされ、血流再開治療を必要とする細胞(ペナンブラ)の存在がわかります。
ついで血管を立体的に描出できるMRAで、詰まった血管を特定。機械的血栓回収療法の適応と診断されれば、血管撮影装置を備えたカテーテル室で治療開始。当院ではここまでわずか5分という超スピーディです!
この過程で出血の有無も判明しますから、脳出血や、くも膜下出血でも詳細な診断と治療へと素早い移行が可能です。
MRIの迅速診断には、撮像法に応じて設定を微調整するなど〝撮像レシピ〞の構築が欠かせません。当院の画像診療部と脳神経外科の連携で誕生した数々の撮像レシピは、学会論文や講演で高評価を得てきました。
当院ではMRIは汎用タイプの1・5テスラ2台とハイエンドな3テスラ1台が常時稼働。
3テスラは金属をよりクリアに撮像できるので、脳血管内治療のため留置したコイルやステントの術後経過観察にも活躍しています。

カテーテル治療の舞台は血管撮影装置

血管撮影装置は、連続的なX線透視撮影を行うことで、血管の状態や、血管内治療のプロセスをリアルタイムの画像(動画)で写し出す装置です。
当院はシーメンス社の最新機種ARTIS icono D-Spin を導入。2方向から同時に撮影できるバイプレーンタイプで、細部までクリアに見える高画質が最大の特長。Cアームの動きが素早く、旧装置だと5秒かかっていた立体画像などは最短3秒で撮影が完了するので、X線の被ばく量も造影剤の量も削減でき、以前より低侵襲となっています。
血管撮影装置下で行われるカテーテル治療はとてもデリケート。血管の位置や屈曲は個人差が大きく複雑なため、透視画像だけでは医師が行うカテーテル操作は困難です。立体画像やCTに類似した輪切り画像を撮って重ね合わせる、あるいは事前のMRIやCT画像とフュージョン(合成)するなど、AIを活用した脳内のマッピング(地図作成)が重要です。
これらは隣の操作室に布陣する診療放射線技師が操作。医師とマイクで応答しながら撮影角度を割り出して操作します。
導入したARTIS icono D-Spinは位置情報を自ら記憶して複数の画像を同期させる機能があり、患者さまが動いたり、手術台が移動しても、ピタッと補正。検査効率向上、被ばく量低減に貢献します。
またステントなどさまざまな素材を放射線吸収量で識別し、画面のアーチファクト(ハレーションなどで不鮮明になること)を抑制。頭蓋骨の厚みに伴うノイズも、撮影軌道の工夫で低減しています。
最新設備と医療スタッフの研鑽が同院の脳卒中治療を牽引しています。

左写真:緊急搬送時のMRA画像。黄色の矢印部分より先の左中大動脈に閉塞がある
中写真:ディフュージョン画像。梗塞部分(左中大動脈からの血流が途絶えた部分)が白っぽく撮像されている
右写真:フレア画像。ディフュージョン画像の梗塞部分も現段階で異常なし。すなわちまだ壊死に至っておらず、カテーテル治療で血流を再開させれば助かるペナンブラの存在を示している

左写真:MRAで明らかになった未破裂脳動脈瘤
中写真:フローダイバーターステントを留置直後の脳動脈瘤(黄色の矢印部分)
右写真:6ヵ月後、白い像が消え、脳動脈瘤が消えていることがわかる

左写真:緊急搬送時のMRA画像。黄色の矢印部分より先の左中大動脈に閉塞がある
中写真:ディフュージョン画像。梗塞部分(左中大動脈からの血流が途絶えた部分)が白っぽく撮像されている
右写真:フレア画像。ディフュージョン画像の梗塞部分も現段階で異常なし。すなわちまだ壊死に至っておらず、カテーテル治療で血流を再開させれば助かるペナンブラの存在を示している

Staff Voice

患者さまの命を守るためスキルアップに努めます

画像診療部平川 剛史 診療放射線技師
カテーテル治療の現場は、時間との闘いです。どのような画像を提供すれば、医師の手技をサポートできるか? 経験を積み重ね、技術を磨いていかなければなりません。当院は院長をはじめ脳疾患のスペシャリストがそろっており、直属の上司である齋藤誠課長は全国でも著名な血管撮影のスペシャリストですので尊敬しています。カンファレンスでの意見交換はとても勉強になります。患者さまの救命に役立てるよう、日々がんばってまいります。

MRI撮影の技術を磨き、脳卒中治療に貢献

画像診療部 係長
竹田 幸太郎 診療放射線技師
検査・治療用の画像機器にはMRIやCT、PETなど多くの種類がありますが、私はMRIをメインとする日本磁気共鳴専門技術者です。脳内の情報をより早く、より多く、より正確に描出するため工夫を重ねてきました。緊急搬送された患者さまがほんの数日で回復し、院内を歩く姿をみると、この仕事を選んで本当に良かったと思います。

探険隊長から...

脳卒中チームは医師、看護師、診療放射線技師、薬剤師、臨床工学技士に加え、リハビリテーションを担う理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が120名! 超急性期から回復期まで切れ目なく地域の皆さまを守ります。

横浜新都市脳神経外科病院