オシゴトいろいろ

最適ながん薬物治療を支えるエキスパート

薬剤の量の調節を医師に提案することも

がん薬物療法認定薬剤師になろうと思ったきっかけは、入職3年目で消化器がん病棟の担当になり、がん化学療法委員会の委員にも任命されたことです。がんという病気とその薬物療法について、より専門的な知識が必要になりました。上司から東京都の医療者向けがんセミナーの受講を勧められ、病院の支援を受けながら先輩とともに参加したのです。セミナーの講師陣は、がん治療の第一線で活躍する薬剤師の先生方。最新のエビデンスに基づく講義の内容は「こんなに深く幅広い知識を持っているんだ」「こんなこともできるんだ」という驚きの連続で、私ももっと専門性を高めて患者さまに貢献したいという思いが強くなりました。必死に勉強して、がん薬物療法認定薬剤師の資格を取得したのは31歳のときです。
現在の主な仕事は、医師だけでは伝えきれない詳しい説明を行って患者さまの理解を促したり、不安をやわらげたりする患者さまサポートと、副作用の管理です。副作用を予防あるいは軽減する方法はいろいろあり、副作用が強くあらわれた場合は薬の量を調整することもあります。そのための助言や提案を行うのががん薬物療法認定薬剤師です。IMSグループの病院は医療チーム内の風通しがよく、医師は私たちの提案を受け入れてくれます。副作用をコントロールしてがん薬物療法を継続することができれば、治療の効果も期待できます。


臨床研究とその発表は専門性の向上に欠かせない

制度利用で仕事と家庭を両立。 子どもとの時間も充実

がん薬物療法認定薬剤師としての勤務は、板橋中央総合病院で約2年、当院では6年目となります。転勤は自分自身の希望です。育児のため実家近くに転居し、通勤しやすいのが当院だったのです。子どもが0歳のときから保育園を利用し、実家の家族のサポートも受け、同じ薬剤師の夫も育児や家事に積極的に関わってくれます。ストレスフリーでいられるのはそのような環境と、仕事でやりたいことをできていることが大きいです。
短時間勤務制度も小学3年生まで利用できるので安心です。私に心の余裕があると、子どもとの大切な時間もいっそう充実すると感じています。
夫もがん薬物療法認定薬剤師なのですが、私が資格取得に向け楽しそうに勉強しているのを見て自分も、と思ったようです。いまは私のよきアドバイザーです。
仕事においては今後、若いがん患者さまに対して、妊孕性(にんようせい:妊娠するために必要な能力)のことなどを十分に説明できる体制をつくっていきたいと考えています。妊孕性温存の専門知識を身につけるために「日本がん・生殖医療学会」に最近入会しました。
臨床研究にも力を入れたいですね。患者さまの経過を振り返り、科学的な視点で検討する臨床研究は、私たちの知見と専門性を高め、患者さまによりよい治療やケアを提供することにつながるからです。
好きなことはバスケットボールの観戦。中・高・大学と部活でかなり“本気”のバスケを経験。その頃の仲間とは私の家でよく集まります。
もともとは兄が『スラムダンク』の大ファンでバスケをやっていて、その影響を受けました。男子日本代表が出場を決めたパリ五輪を今から楽しみにしています。


子どもとの時間も大切に

がん薬物療法認定薬剤師とは?

最適ながん薬物療法が行われるように、薬物の専門家としてチームに参加し、医師やスタッフへの助言・提案を行う。患者さま本人やご家族さまに対しても説明や指導を行う。薬剤師としての実務経験3年以上などの条件を満たし、認定試験に合格することにより日本病院薬剤師会の認定を受ける。

新松戸中央総合病院